宇佐美さやかの経歴
●1977年
5月5日、横浜市港北区生まれ。三歳上に兄。同世代の子より頭ひとつ大きく、元気な幼少期を過ごしました。
●1981年
4歳頃から母に連れられ、前進座や歌舞伎座の観劇。楽しくて、役者が何を言っているのか分かり、母に説明をしました。
●1989年
中学校に入学。
●1991年
劇団「ナイロン100℃」に出会い、役者にあこがれました。
●1992年
橘学苑高等学校に入学。学ぶことの楽しさを知り、一人ひとりが人として大切にされることを体験しました。
●1995年
18歳、日本共産党に入党。世の中をよくしたい、人のために役立ちたい、という思いからでした。
●1995年
劇団「OFFOFF東京」に入団。
●2000年
23歳のとき、映画とサルサ(音楽)に憧れ、一人でキューバへ。一ヵ月の滞在で、日本を相対化してみることができ幸福についても考える良い機会になりました。
●1998年~2013年
派遣労働で結婚式場やホテル、レストランで働きました。同僚からは、「さやかはお客さんに好かれ、明るい人」と言われていました。
母は、会社勤めをしながら、新日本婦人の会などで活動していました。芝居好き、料理好きは母のおかげです。
父は、二交替制の勤務に就いていました。私の体型や顔立ち、おおらかな性格は父に似ていると思います。
●2015年4月横浜市会議員初当選
市会における現在の所属常任委員会などはこちらをご覧ください。
宇佐美さやか 元教師と語る
横浜市政新聞2015年1月号外(神奈川区版)より
わたしを成長させてくれたもの
本橋 今日は宇佐美さんを交えて、忌憚なく三人で語り合いたいと思います。まず、金井さんからどうぞ。
金井 『宇佐美さやか物語』を読むと、「中学に入学して一か月後、いつものように登校すると、突然教室の雰囲気が変わって、誰も私に声をかけない、見ようともしない。“いじめ”の始まりでした」とあります。“いじめ”というのはほんの数日の間に、一気に進行することがあります。先生はできるだけ早く気づいて、何はともあれ、いじめられている子の命と心身を守り抜くことが大切です。宇佐美さんが担任に手紙を書いたのに、適切な対応をしてくれなかったことは残念です。
宇佐美 休み時間にきて、いじめている子に「コラッ、何しているんだ!」と一喝しただけでした。これで“いじめ”が終わるわけがないですよね。
本橋 事実を知るために、双方から話を聞き、忙しいからと後回しにしないで、早く子供のサインを受けとめてほしいと思います。
金井 それで、不登校になるのですね。中二の時、自分の意思で学校に行くようになった。再登校できた宇佐美さんのエネルギーに感心します。
宇佐美 いつも一緒に付き合ってくれた友人がいたことが良かったと思います。その子もいじめられるかもしれないのに、勇気をもって行動を共にしてくれました。もう一つは、中二になったとき、いじめられやすいタイプの友達が、私と同じクラスになったので、私が学校へ行かないと、その子がいじめられると思ったのです。
本橋 子どものことを思って寝食を忘れて東奔西走している先生は、たくさんいます。でも残念ながら、学校と教職員に対する上からの管理が強化され、先生たちは、仕事に忙殺されて、行き届いた対応ができにくいような状況になっています。
宇佐美 前から得意でなかった数学が、不登校でもっと苦手になってしまったのですが、私の成績を見て「おまえ数学がわかっていないな。頭は帽子を載せるためにあるのか」と言った先生がいました。
本橋 それは心を傷つける言葉ですね。分かるまで教えてくれる学校だったら、と思います。宇佐美さんが言っていましたが、父母に愛情を込めて育てられたことや、お母さんの仲間がみんな温かくいい人だったということが良かったと思います。それと、宇佐美さんは友達に恵まれたこと。だから心が折れなかった。そして、高校が素晴らしかった。
宇佐美 その通りで、高校にはとても感謝しています。数学はとても丁寧に教えていただいて、私のわかろうとする姿勢を評価してくださり、選択授業の『発見の数学』では学びの必要性や楽しさを知りました。生徒総会では『制服問題』を取り上げ、全員発言できるまで先生方は待っていました。考えることの大切さも学びました。
本橋 松村先生(宇佐美さんの出身高校の校長先生)の推薦文によると、高校の先生方は子どもが主人公になるような学校づくりに努力してきたのだと思います。これを宇佐美さん個人の運と考えるのではなくて、もっと一人ひとりが大事にされる教育が受けられるような社会に変えていってほしいです。
金井 高校になって、やっと「自分にどこか落ち度があるのではないかという思いが払しょくされた」と聞きましたが、“いじめ”というのは影響が長く残りますし、深い傷を残します。
本橋 現代の競争社会のストレスが子どもに及んでいることも、“いじめ”の原因として、見過ごすことはできません。教育基本法が第一次安倍内閣のとき改悪されて、競争とふるい分けがよりひどくなりました。
金井 “いじめ”は厳罰や数値目標を掲げた管理や道徳教育の押し付けではなくなりません。“いじめ”を止めるには、子ども自身から「やめようよ」と言えるようになることが一番効き目があります。子どもの自主性を重視すること、こどもの人権が人間愛に包まれ、育っていくような学校や社会にすることが解決への道ではないでしょうか。
本橋 それと教科書の問題があります。横浜市が採択した中学校歴史・公民教科書に憲法9条を踏みにじることが公然と書かれています。その教科書で一つの偏った考えを刷り込まれ、物事を多面的に考えようとしない子どもたちは想像力を欠き、人の心を思いやることが苦手になるでしょう。平和を求め、様々な考え方を認め合い、尊重し合うことが、子どもたちの豊かな心をはぐくみます。
宇佐美 いじめられている子どものSOSに気づいてあげられる少人数学級も必要です。幼年期に大人に大切にされた子どもは大人になった時、他人を思いやることができると思うのです。それと、私は、教育で子どもの思想を歪め、戦争する国へと突き進む今の政治に危機感を覚えています。子ども達が楽しく学び、自分の頭で考えて行動でき、相手を思いやる、そんな子ども社会をつくりたい。そして、“いじめ”をなくすために、おおもとにある格差社会をなくすために頑張りたいと思います。
本橋 宇佐美さんの今後の活躍を期待します。有難うございました。
写真左:本橋 章世(元小学校教諭)
写真右:金井登志男(元小学校教諭)